一生ものの恋をあなたと
「わかりました。
…じゃあ、鉄平くん、行こうか!」

「……いってきます…」

まだ不満そうな鉄平くん。
これは昇平くん云々ではなく、ただ離れるのがイヤなんだな。
夏休み中、べったり親元にいると、離れられなくて幼稚園に行くのが嫌になる子は沢山いるからね。
みんなお母さんがいいよねー。
年長さんだってまだまだ幼い。

「鉄平くん?
次のバス停、めぐちゃん乗ってくるよ〜?」

次のバス停は姪っ子の恵ちゃんが乗ってくる予定。夏季保育に参加するって言ってたからね。

「…まじ⁉︎
めぐ、のってくる?」

「フフフ。うん。
さ、行こう!」

鉄平くんは姪っ子の恵ちゃんが大好き。
恵ちゃんは今、私が持つ学年の年中さんだ。

恵ちゃんで釣り上げた鉄平くんを乗せて、さあ出発だ。



◇◇




夏季保育は基本的に学年の垣根を超えた自由遊び。
朝のお祈りと聖歌の後は、降園時間まで楽しく遊ぶ。
残暑が厳しいから、水分を徹底して摂らせる。

幼稚園の先生は基本的に休み時間がない。
お昼ごはんもお昼休みも、園児と一緒。
保育園と違い、お昼寝の時間を取らず、すぐに降園なので、朝は早いけど、16時には全員退勤となる。

もう3年目なので、その生活にはすっかり慣れた。

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