【紙コミックス①②巻発売中】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
でも、それは、僕に嫌悪感しかない筈の彼女の態度が、昨夜までのものとはどこか違って、少しソフトになったというか、距離が近づいたというか。
口ではうまく説明できないが、彼女と過ごす時間が、とても心地良いものだったから、僕が少々調子に乗ってしまったのも仕方がないことだと思う。
そしてそんな僕が、趣味の料理で彼女のことをもてなそうと、女性が好みそうなものをあれこれ考えているうちに、品数が増えてしまったことも。
元々、僕が料理に興味を持つようになったのも、十五年前の彼女との出逢いがきっかけだったものだから、余計に張り切ってしまっていたようだ。
彼女と共通の話題が欲しくて、料理の話題を広げようとした僕に、料理が苦手だと言った彼女の表情がどこか寂し気に見えた気がして、僕は猛烈に後悔することになったけれど、それも稀有に終わったようだった。
実際、当時の彼女が嘆いていた通り、女性が板前になるのは厳しい世界だったのだろうと察しは付くが。あの頃は、まだ彼女も子供だったし、父親や兄への憧れから板前になりたいと思っていただけだったのかもしれない。
その証拠に、彼女は料理の話題が嫌というよりは、昨夜僕と深い仲になった所為で、僕のことを妙に意識してしまっているからのようだった。
それらも加わって、僕はますます調子づいてしまっていたのだろうと思う。