鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 突っ伏したまま顔を横に向ければ、覗き込んできた結城君と目が合い、ガバッと飛び起きるようにして身体を起こした私は、何度も目を瞬かせた。

「……ゆっ、ゆゆゆ結城君ッ!?」
「ひとりみたいだけど。もしかして彼氏とケンカでもしちゃった?」
「……ゆ、結城君こそ、どうしてここにッ」
「あぁ、良かった。知りあい? なら、ちょっと見ててもらえるかなぁ? この子の彼氏に連絡入れてくるから」
「はい、喜んで」

 その間に、カウンター内に居た藤木さんと私のすぐ後ろに居る結城君とが言葉を交わしてすぐ、藤木さんが近くでシェーカーを振っていた若い二十代くらいのバーテンダーに店を任せて奥に姿を消してしまい。

 気づけば、隣のスツールに腰かけた結城君に気遣わし気に声をかけられた私は、肩を抱き寄せられていた。

 途端に、結城君の登場に驚いて急に動いたせいか、酔いが回ったらしい私の全身がカアッと熱くなって、頭までクラクラとしてきて。

「え!? 高梨さん? 大丈夫?」

 徐々に遠ざかっていく意識の向こう側、微かに聞こえてくる結城君の心配そうな声と身体を揺するような振動を感じながら、私は意識を手放してしまうのだった。
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