【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 あの時、結城君とふたりきりという緊張感からてんぱってしまってた私は、いきなり『好きだよ』なんて言われてキスなんかされちゃって、胸まで揉まれたお陰で、そのことばかりに気をとられていたけど……。

 今思えば、私のことなんて完全に無視して、自分勝手に思いをぶつけてきた結城君のことが怖かったんだと思う。

 それにあの時、キスされるのも、胸を触られるのも、ただただ『気色悪い』としか思えなかった。

 どうしてなのか、今、なんとなく分かったような気がする。

 きっと私は、無意識に結城君のそういうところを感じ取って、結城君を拒絶したんだ。

 そこまで考えが至った時だった。

 突如、身体がグラリと傾いて、ベッドに倒れ込んだ。

 酔いが残っているせいで、頭もぐらんぐらんしてきた。

 思わず瞼を閉ざしてしまった私がこめかみを押さえつつ、再び目をあけた先には、結城君のドアップの顔があって。

 ハッと我に返った時には、バスローブに身を包んだ結城君の身体に私の身体が組み敷かれた後だった。
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