鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 隼にとっては、ただ縁談を断るための口実がほしかっただけなのに、その口実が我が儘放題で、いくら気の強い女性がタイプでも、少しばかり胸が大きくても、飽き飽きしてたのかもしれない。

 だから、触れなくても平気だったんだろうし、もうそんな煩わしい存在はお役御免、そういうことなのだろう。

 隼からしたら、私が口にした別れの言葉は、渡りに船だったに違いない。

 お互いの好きだっていう想いが膨らんで、想い合う気持ちが深まった気でいたのは、私だけだったんだ。

 そうとも知らずに、ひとりで舞い上がって、その気になって、こんな格好までして、バッカみたい。

 冷静に考えればすぐに分かるようなことなのに、どうして今まで気づけなかったんだろう?

 ……まぁ、仕方ないか。悔しいけれど、恋愛経験の乏しい私には、そんなことを見破るスキルなんてないんだし。

 『YAMATO』の御曹司で、見た目が王子様みたいで、女性なんてよりどりみどりで、そんな隼がいくら子供の頃に出逢っていたからって、私のことなんか本気で好きになる訳ないのに……。

 ーーあーぁ、すっかり騙されちゃった。

 ショックが大きすぎて、涙も出てこないや。
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