鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
何を思うよりも先に身体のほうが動いてしまってた私は、私の視線から逃げるようにして顔を俯けてしまっている隼の身体にギュッと抱きついていた。
あんまり隼が可愛いことを言ってくるものだから、もういてもたってもいられなくなってしまったらしい。
「隼、ごめんね。さっきから意識しすぎっちゃって、余裕なんてなかったもんだから、隼ばっかり余裕でズルいって思っちゃって。ほんとにごめんなさい」
そんな私は、相も変わらず心の内を全部バラしてしまうのだった。
けれども、いつもは強気な上から目線な言い方のはずが、終始敬語口調を貫いている隼に意識しすぎて、何度もときめいてしまってたせいか、それともしっとりと落ち着いた上品な着物のせいか、はたまた神秘的な蒼白い月明かりがそうさせるのか……。
どういうわけか、私はえらく素直にしっとりと隼の胸にしなだれかかっていて。
「……あっ、いえ。僕こそ、子供じみたこと言ってしまって、すみませんでした」
それを耳にした隼まで、すぐに申し訳なさそうに謝ってきて。
その様子は、なんだか少々照れているように見える。
結局はいつもの如く、謝りあいっこするという、お決まりのパターンとなったけれど。
しなだれかかっている私のことを照れくさそうに、おもむろに見つめてきた隼が息を呑むような気配がしてすぐ。
「その着物、とっても似合っていますよ。艶っぽくてとても綺麗で、ドキドキします」
照れくさそうにしながらも、優しい甘やかな声音で隼に囁かれてしまい。
またもや胸はズキュンとときめいてしまうし、下腹部の奥までがキュンと切なく疼いてしょうがない。
もう照れとか羞恥とか、そんなものなど、もうどうでもよくなっていて。
「ほんとに?」
隼の甘やかな囁き同様にすっかり甘くなってしまっているこの場の雰囲気に酔わされてしまったかのように、やけに艶やかな色っぽい声音で隼に問い返していた。
そうしたら隼は隼で、私のことをやけにうっとりした表情で見つめ返しながら、私の頬を両手で優しく包み込んで。
「ええ、本当ですよ。世界で一番綺麗です。こんな綺麗な女性が僕の奧さんだなんて、夢みたいです。侑李さん。世界で一番、愛してます」
「私も。世界で一番、愛してる」
いつも大袈裟なことを言ってくる隼の甘やかな声音によって、愛を囁かれてしまった私が、同じように愛を囁いたのが、あたかも合図だったかのように、隼からなんとも優しい甘やかなキスが降り注いだ。
こうして私たち夫婦の密やかで甘やかな夜はひっそりと静かに始まりを告げたのだった。