鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
正確には、大学時代に王子と関わってしまったあの時、もう既に好きになっていたんだろう。
でもあの時は、手の届かないアイドル的存在でしかなかった王子へのミーハー的な好意でしかなかった。
それが、王子にも人知れず苦悩があるのだと分かって、天と地ほど離れていた距離が一気に近づいて。
その距離がもっと縮んで、そのうち好きになってもらえるんじゃないか、そういう希望的観測を無意識に抱いてしまったんだろうと思う。
「……そうだったんですか。事情も知らずに失礼しました」
「あぁ、いえ、別にあなたに謝罪して頂きたくて言ったわけでは……。ただ、僕には、さっきあなたが言ってたような性癖がありまして。そういうものでないと、そういう気持ちになれない上に、おかしな噂まであるなんて、こんな男を好きになってくれる女性なんて居ないだろうなぁ……と、ふと思ってしまっただけです。酔っ払いの戯言ですので、気になさらないでください」
そして、王子の甘いマスクに物腰柔らかな立ち居振る舞い、丁寧で柔らかな敬語口調。
王子に元々備わっていたのだろう、女性に対するキメ細やかな優しい気遣い。
プラス、さっき見せた憂いに満ちた表情とチラチラと無自覚に覗かせる苦悩。
私だけじゃなく、大抵の女性の心を惹きつけるには充分すぎる要素だったに違いない。
それに惑わされない女性が存在するなら、今からでもいいから、是非ともその方法を伝授していただきたいものだ。
そうしたら、こんなにも長い片思いなんてせずに済んだだろうに、そう思わずにはいられない。
「私がさっき言った性癖ってことは、手錠とかで女性を拘束したりすることに悦びを覚えたり、性的興奮が高まるってことですよね? そういうの、興味あるんですよねぇ」
「なら、試してみますか?」
「是非」
王子と話してるうち、あたかも悪魔にでも唆されるようにして、耳元で囁かれた王子の甘やかな誘いに私は躊躇なく応えていた。