鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
事のきっかけは、仕事で上司とやりやった私が少し呑みすぎて、その日もバー『Charm』に偶然居合わせた王子に、つい零してしまった、別れた彼氏の愚痴だった。
「興味本位で手錠かけてって言っただけなのに、真っ青な顔して怯えちゃって。結局、そのまま逃げるように帰られちゃって。
後日電話で、『そういう特殊な性癖には付き合えない、ごめん』って一方的に言われて振られちゃいました。
でも、そんなに特殊な性癖じゃないと思うんだけどなぁ」
「そうでしたか。まぁ、でも、性癖なんて人それぞれですしねぇ。そういうこともありますよ」
「うわぁ、さっすが経験豊富な人は言うことが違いますねぇ。
でも、そのうち警察沙汰になっても、私は女性の味方なんで、助けたりしませんから、そのおつもりで。
さんざん弄んだ挙げ句に妊娠させたり、飽きたらポイッとしてきたんですから、自業自得ですよ。その報いはちゃんと受けないと」
大学時代に、王子に関する黒い噂の数々を耳にしてきたし、刑事となった身としては、王子に苦言を呈する意味でも、放った言葉だった。
まぁ、それも酔ってたから言えたことだったんだけれど。
「昔から、そういうおかしな噂が出回ってるようですけど、僕は誰一人妊娠させたことなんてありませんし、いつも飽きられるのは僕の方です」
なのに……。
その噂は真実とは違っていただけじゃなく。今まで一度もお目にかかったことのなかった、憂いのある表情で苦悩をチラつかせる王子の姿に、私は秒で心を鷲掴みされてしまっていた。