【完】スキャンダル・ヒロイン
「ふふ。俺は結構静綺ちゃんタイプだけど?
今日みたいに化粧が薄いのも可愛いけど、この間の花火大会の時もすっごく綺麗でビックリしたし。」
「もぉ~………昴さんは口が巧いなぁ~…女の子に勘違いされやすいでしょう?」
「自分では何もしたつもりは無いけど、共演者の女の子の間で争いが起こる事はある」
そりゃそうでしょーよー。’可愛い’とか’綺麗’って言葉を自然に吐けるなんて生まれつきの人たらしに違いない。
誰にでも優しいのってある意味残酷だと思う。共演者って皆芸能人だから顔面偏差値も高いだろう。その女の子たちに取り合いされるって…。
自然に他人からどうあれば好かれるって本能的に理解してるのって、ある意味質も悪い。本人には全然悪気がないんだろうけどさ。
部屋に到着して、昴さんは荷物を降ろしてくれた。ありがとうございます、とお礼を言うと、またにこやかな微笑みでこちらを優しく見つめる。
だからその顔止めて。思わず頬が緩んでしまう。
「この寮で暮らそうって思ったのは確かに今度のドラマの現場から近いってのもあるんだけど
静綺ちゃんの料理がすごく美味しかったから。また食べたいなぁ~って思ってたんだ。これは本当」
きゅん。
おい、きゅんってなんだ。騙されるな。これは誰にでも言っている事、そして深い意味はない。
「昴さんの好きな物作りますね。栄養満点なやつ。
ドラマって秋に放送されるんですよね…?」
「うん。10月にスペシャル番組として放送されるの」
「楽しみです。」