【完】スキャンダル・ヒロイン
「真央、ほんっとうにうるさい!」
私と真央のやり取りに、隣に居た昴さんはクスクスと口元を押さえて笑う。
私と真央を交互に見やり「本当に仲が良いよね?」と甘い声で言った。
「な、仲良くなんてねぇよ!」
「仲良くなんてありません!」
その声が合わさったから、真央と視線を合わせると、チッと大きな舌打ちをしてどかどかと足音を立てて、さっきまで昴さんがいたソファーへと座り込んでしまう。
こちらをチラッと見て下から眉をひそめてこちらを睨みつけ続けた。…こういう所が無ければ…あんただって昴さんに引けを取らない位一般的に見れば王子様なのに。
「本当に仲良しだね、真央と」
「いえいえ、全然そんな事ないんですよ。
あの人が勝手に絡んでくるだけだし、本当に子供なんだから。
お腹が空いてきっと機嫌が悪いんですよ」
今私、昴さんの隣を歩いちゃってる。寮内だけどさ。
そして昴さんが私の荷物を持ってくれて、普通に私に話を掛けてくれる…!
全国のファンが知ったら発狂しちゃうんだろうなぁ。…でも何か優越感。
まぁ昴さんの性格からして、これが私じゃなくっても誰にでも優しいんだろうけどさ。
「真央は静綺ちゃんの事が大好きなんだね」
「いや、それは無いっす。いっつもブスとか一般人とか言われてるし。
それにさっきの言葉聞きました?!お前の事なんか相手にするか!って。そんなの真央に言われなくたって分かってますよ。
昴さんの周りは綺麗な人だらけですもん。」