【完】スキャンダル・ヒロイン
「えぇっと…山之内さんという方とお約束をしていたのですが…」
「山ちゃんなら事務室にいるんじゃねぇか?」
「事務室というのは…」
ぎろりと睨みをきかされ、ヒッと肩が上がってしまう。
警備員さんは無言のまま奥の部屋を指さした。
ぺこりと頭を下げてそそくさとその場を走り抜ける。
私は一体何のバイトの面接を受けると言うのだろうか。…ここは、一体。
春香から詳しくバイト先の詳細も聞かずに時給だけでここに決めてしまった。朝と夕のご飯を作るのが仕事であるのならば…ここは寮?なのだろうか。
寮といえば若い学生が下宿していたりしていて、もっと雰囲気が明るそうなものでありそうなのだが…シンと静まり返った昼なのに陽が入らない室内は夏だというのに薄ら寒い。
ひとっこ一人見辺りはしないんだが…。
「失礼しまーす…」
事務室を発見し中に入ると、そこにはいくつかの机が並べられていてパソコンが何台が机に乗っている。
資料が山のように置かれてあって、ぐちゃぐちゃに散らかっていた。 そして薄暗い空間…壁にはポスターが何枚も何枚も貼られていた。
良く見て見るとそこかしこにCDやら雑誌が落ちていた。しかしそこにはお目当ての山之内さんはいないようだ。
「これは……」
1枚のポスターに目が行く。
「この人見た事ある!」
ポスターにはデカデカと「大滝 昴」と書かれていた。
この間大学の友達がこぞって騒いでいた。あのドラマ見た?!とか…大滝くんかっこいい!など。