【完】スキャンダル・ヒロイン
そのポスターに写っていた人物は、爽やかなルックスで現在人気急上昇中の俳優だ。あまりテレビは見ないので名前は今日初めて知った。
大滝昴と言うのか…。確かにこれはかっこいいわ…。じろじろと見つめて、ハッとした。こんな事をしている場合ではない。山之内さんを探さなくては…。
抜き足差し足で建物内を探索するが、ひとっこ一人見つかりそうにはない。
何台かの洗濯機がある部屋。広めのキッチンと食堂のような広い部屋。どこもかしこも散らかってはいたが、生活感は余り感じられなかった。
つーか…誰もいないじゃんか!
そう思い奥の扉を開いた瞬間だった。
ついに幕を開けてしまうのだ。私史上最悪の日が。
むわっと湿気の多い室内を開けた瞬間、そこがお風呂であるのを察した。
今までの部屋とは違い電気が灯っていて、きょろきょろと辺りを見渡すと突如バンッと大きな音を立てて浴室の扉が開かれた。
そこに…そこに立っていたのは…。
上半身裸の実に美しい男性だった。
キリっとした眉は整えられていて、スッと通った鼻筋に美しい唇の形。
頬に小さなひとつほくろがあって、茶色みがかった切れ長の瞳はまるでビー玉のように綺麗だ。
こんなに綺麗な男性を見た事は、今までなかった。
美しいのは顔だけではなく、露出された上半身は程よく筋肉がついていてスタイルさえも完璧に美しい。
思わず呆気に取られて口をポカンと開ける。そして一瞬にしてこの状況にパニックになる。
男はじりじりとこちらへ寄って来て、歩くたびに少し長めの茶色の髪から水の雫が滴り落ちる。
その余りの迫力に体は硬直して動けなくなっていた。