【完】スキャンダル・ヒロイン

だから、それってどういう意味…。

心臓のドキドキが大きくなっていくのを感じる。こんなに近くにいたら聴こえてしまうんじゃないかって程。

私なんでこんなに真央を意識しているの…?そんな真剣な目で見つめられたら

先に目を逸らしたのは、真央の方だった。そしてパッと手を離して、ベッと舌を出したかと思えばいつもの意地悪な顔に戻る。

「フンッ。まぁお前がどれだけ期待しようが昴には彼女がいるからな!」

「そりゃああんなにかっこよくって人気者なんだから彼女のひとりやふたりいるでしょーよ…」

「俺はいない!」

だから聞いてないっての!

「昴の付き合ってる女優は好かん。あんな裏表ある趣味の悪い女と付き合っている昴はどうかと思う。」

「それは…知らんけど。昴さんが好きになるくらいだから真央の分からない良い所があるんでしょーよー。
それに女優さんと付き合ってるなんて昴さんはやっぱりすごいなぁ~…。
もしも私が昴さんの事を好きになったとしても全然相手にしてくれないでしょーよ。期待をする気にもならんわ。
寧ろ昴さんなんて雲の上の存在で、一般人の何でもない男に振られちゃうくらいに私はモテないんだからー
この先彼氏が出来るか不安になってきたぁ…」

「そんな事はないッ!
お前は悪くはない!確かにそこらへんにいる普通の一般人だ。
色気のクソもねぇブスだが、そんなお前でも好きになってくれる男は絶対にいる…!
そんな奇特な男は、この世のどこかにきっといる!」

悪口も入っていたけれど、酷く熱弁してくれる。やっぱり何故か憎めない存在だ。
そして自分で言った言葉で恥ずかしくなって、その場にしゃがみこみ頭を抱える。

…こういう所は可愛らしい人だなって思う。男に対して可愛らしいは褒め言葉か分からんけど。
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