【完】スキャンダル・ヒロイン

何をしている時よりも演技をしている彼はかっこよかった。
だからこれは俳優であるあいつのいちファンなだけであって、そこに特別な感情は無い。

「ずっと監督から真央にオファーがあってそれを断ってたみたいだけど。
事務所もこれで俳優姫岡真央が完全復帰出来たらってかなり期待してるみたい」

「そうなんですね?!えー…あいつ何にも言わないんだもん…教えてくれたっていいのに。
わぁ…すっごく楽しみ…どんな役なんだろう。真央はシリアスな役も似合ってるけど、私は学園もののコメディたっちの役も好きなんですよ。
昴さん見ました?ラブコメの時の真央の役が最高に面白くってかっこよくって!私すごくキュンキュンしちゃって…
真央は一見何でも出来るけれど中身は抜けているって役がすごく似合うの!」

自分で言っていてハッとした。
目の前の昴さんは優しい顔をしたまま「うん、うん」と私の話に相槌を打っている。

何を、ひとりで暴走を…しかも昴さんの前で…。
思わず自分の両頬を押さえると、熱でもあるのではないかと思うくらい熱かった。

「真央の演技が好きなんだね…」

昴さんの声が余りにも優しいから、自然とこの言葉が口から出ていた。

「すごく……好き――…。
あの人は演技をしている時が最高にかっこいい…」

まるで告白みたいだ。でもこれは素直じゃない自分の心からの本心だった。昴さんの眼差しも声も優しいから、思わず本音がぽろぽろと出てしまう。
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