【完】スキャンダル・ヒロイン
「それに昴さんは知らないかもしれないんですけど、真央は仕事に対してすっごく真面目なんですよッ。
不器用で分かりずらいけれど、思いやりもあって…スタッフさんたちの事もきちんと考えているの」
「知っているよ」
「あ、そりゃそうですよね…。昴さんの方が真央とは全然長い付き合いなんだから…
私演技が良いってだけじゃなくって、そんなあいつの人柄っていうのをもっと色々な人が分かってくれたらなぁ~って…」
何故か昴さんは黙り込んでしまった。
無表情になって視線を下に落として何かを考え込んでいるようで、それはさっきまで優しく笑っていた昴さんの雰囲気とは全然違って
私なんか変な事を言った?と心配になってしまう。真央の事を全然分かってないくせに何分かったつもりになっているんだこの女、とでも思われているんじゃないか。そう考えたら途端に恥ずかしくなってしまう。
「羨ましいな…」
ぽつりと漏れた言葉は意外な物だった。
「え?」
「そんな風に自分を理解してくれる人がいて、真央はいいなぁって思った…」
その口調は少しだけ寂しく見えた。
「昴さんの事を理解してくれている人も沢山いますよッ。
坂上さんも言ってましたし、昴くんは天才型だって!
だって完璧ですよね。こうやってプライベートでも優しくって、人間的に出来てるから仕事もコンスタントに来るんだと思いますッ。
私芸能界の事は何にも分からないけれど、やっぱり人柄って大切ですから」
「完璧ね」
どう見ても完璧な王子様。
ただの女子大生である私を馬鹿にする事なく、寧ろ優しい人。
けれど’完璧’と口にした昴さんは少しだけ乾いた笑いを浮かべた。