【完】スキャンダル・ヒロイン
昴さんだけじゃない。真央だって私にとっては全然違う世界の人なんだ。
やっぱりりっちゃんの言った事はありえないよ。何を勘違いしちゃってるんだろう。こんなに可愛い子と付き合えるような人が、私なんて初めから意識すらするわけないんだ。
「本当に可愛い子ですね。真央にはもったいないくらい」
素直じゃない言葉はショックの裏返しで、人の事なんか言えやしない。
私だって十分に天邪鬼な人間だ。
「結構お似合いだったんだけどね~。真央って結構惚けてる所あるけど可愛らしい感じだからアイドルとは何かお似合い」
「どうせ性格に問題があるから振られたんじゃないですか~…?」
「いや真央から振ったんだよ。岬ちゃんとは仕事の現場で会うたびに真央の事聞かれるなぁ~」
「ふ~ん……」
何か面白くない。寧ろ弄ばれた気分。ドキドキしちゃってバッカみたい。真央の言葉や態度に私への特別な感情なんてどこにもなかったのに。
「別にあいつの恋愛話とか私に関係ないですから。
それより今度の昴さんのドラマの方が気になります。ドSな昴さんなんて想像出来ないなぁ~…」
「アハハ、俺も撮影楽しみだよ。結構最近は好青年の役柄が多かったからさ。
そういえば真央も秋の2時間ドラマで主演するってね」
「え?!」
今日1番の大きな声が出てしまった。
その様子を見て昴さんはクスクスと小さく笑う。
べ、別に興味があるわけじゃないんだけど!!
けれど、私は’俳優姫岡真央’は嘘偽りなく好きなんだ。
坂上さんから貰ったDVDで彼の演技に夢中になって、この間の映画の特別出演の時も、撮影現場で彼を見た時、彼の上にだけスポットライトが当たって見えて