【完】スキャンダル・ヒロイン
だから今言った言葉は全部本心だ。それに心配していた。芸能界の仕事から遠のいていた事。このまま芸能界からフェードアウトしていってしまうんじゃないかって。
それを考えたら俳優姫岡真央のファンはきっと悲しむ。
ジッと私の顔を真っ直ぐ見つめてぴたりと動きを止めた真央は、不思議そうに眼を丸くする。
「どうして静綺がそんなに楽しみにしているんだ…?」
そんな問いかけを投げかけるから、今度はこっちが眼を丸くする。
「だって私…真央の演技が好きだから」
素直にそう言ったら、真央はふいっと視線を横に逸らした。そして水を一気に飲み込んで、再びこちらへ視線を向ける。
ほんのりと頬が緩んでいて、まるで夢を語る少年のような幼い顔をして彼は喋り出した。
「実はお前が出かけていた日曜日に共演者との顔合わせは済ませていたんだ。
昴のドラマと一緒で恋愛ものだって。共演者の女優は新人だけど違う事務所から売り出し中の子でさ、ラブコメって感じ。
この完璧な俺がちょっと抜けてるボディガードの役をやるんだ。アクションもあるから体を仕上げておかないとな!」
仕事の話をしている真央は少年のように途端に幼くなる。
「へぇボディガード?でもちょっと抜けてる天然ってあんたそのものだからぴったりな役柄じゃない?」
「あはは~お前面白い事を言うな~。俺が抜けてて天然な訳ないだろ~?
撮影は来週頭から始まるよ。だからまあこれから忙しくなるって訳だ」
本人は自分が少し抜けていて天然だという事に気づいていない。それはそれで天然が故なのだろうが…。
何はともあれ、彼をまたテレビの中で見えるのは嬉しい。