【完】スキャンダル・ヒロイン

「うんッさっすが静綺ちゃん、瑠璃の事よく分かってる~。
てゆーか山之内さんいっつもスイーツ買って来てくれるからスキィ」

「豊さんは珈琲で、真央はあったかい緑茶ね。
昴さんは何が良いですか?」

「ほー…静綺ちゃん皆の好みよく知ってるね。
俺もお茶淹れるの手伝う。」

そう言ってソファーをひょいっと跨いでこちらへやって来る昴さんを、真央は私と交互に蛇のような目をして睨みつけてくるのだ。

さっきまで皆と楽しそうに話していたかと思えば……昴さんに関してライバル心は未だに健在なようで。

キッチンで昴さんと並び合うと、背が大きいから見上げる形になる。

「俺は珈琲派。ブラックね」

「あ。イメージぴったり。覚えておきますね。
私は真央と一緒で緑茶派です。
あいつおかしいんですよ、珈琲は喉に悪いからって緑茶を飲んでるって、珈琲苦いから飲めないのを言い訳にして。
それにハスキーボイス気にしてるんです。生まれつきだから治らないのにね?
それに私真央の掠れた声って結構好きだし」

お茶を淹れながら昴さんはこちらへ優しく微笑む。
その表情は何かを言いたげだ。

そして言っていて自分でハッとしてしまう程…私真央の話ばかりしている。それを誤魔化すように前を向いた。

「昴さんの甘い低音ボイスも素敵だと思います」

「そう?ありがとう。
真央からドラマの事聞いた?」
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