【完】スキャンダル・ヒロイン
Act Side真央  Stay by my side

Act Side真央  Stay by my side




夏が終わった。’終わります’と許可を告げる事もなく、勝手に。

我が物顔で勝手にやって来てその暑さで散々俺を悩ませた後、するりとすり抜けて行く気まぐれな秋の風のように勝手に去って行った。

そんな夏は少しだけ静綺に似ている気がする。それにしてもこの夏はとても暑かった。熱く熱く俺の胸を焦がしていった。

「不味い!」

「えぇー?!真央くんそんな事言わないでよー!僕泣いちゃうよ~……」

「よくもまあこんな不味い料理が作れるってもんだ」

坂上さんの真っ白のエプロンはどうかと思う。俺の新妻のつもりなのか?

額を汗の粒でたっぷりと濡らして、朝から慣れぬ料理をしてくれているのは俺の為だとは理解している。優しい優しい俺のマネージャー。

しかしこれは何だッ?!

味噌汁は全く味がしないし、ご飯はべちゃべちゃ。
卵焼きは真っ黒焦げだし焼き鮭は原型を留めていない。

「もぉー真央は……そんな酷い事言うんじゃないよ。せっかく坂上さんが一生懸命作ってくれてるのにさぁー」

「あ!昴くんの分もあるよ?!良かったら食べてよ!」

「いや、俺は……腹の調子があんまり良くないから」

「えー?大丈夫?」

大丈夫大丈夫とにこりと笑っていつものアイドルスマイルを浮かべる昴。嘘つけ!ただ単にどう見ても美味しそうじゃない坂上さんのご飯が食べたくないだけだろ?!
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