【完】スキャンダル・ヒロイン
お前はいっつもそうだ。周りに良い顔をして、いっつも美味しい所だけ持っていく狡い男だ!
大体いつまで寮に居座っているつもりだ。俺は知ってるんだぞ、お前が高級マンションを借りっぱなしにしている事を。静綺目当てでこの寮に居た癖に!
「それにしても寂しいよねぇ~…」
瑠璃さんがはぁーっとため息をついて卵焼きに手を伸ばして、直ぐにおえっと吐き出した。
「静綺ちゃんのご飯が恋しい~…。
はぁーラインしよっと。今度遊びに行く約束しようっと」
「瑠璃さん、あいつと連絡取ってんの?!」
「普通にラインも電話も来るよーー!」
ますます苛々は募る。
あいつと来たら、寮から出て行ってからは一度だって俺に連絡は寄こさない。
確かに連絡してくんなとは言ったけれど、それは本音じゃないって事くらい分かるだろ?だって俺だぞ?!
意固地になって自分からは連絡をしていない。このままだったらそのうち音信不通になり、俺の事なんてすっかり忘れていってしまうんではないか…。
「真央ちゃんには連絡来ないの?」
瑠璃さんが気の毒そうな視線を俺へと向ける。
「べっつに!連絡取り合うような仲でもねぇしなッ!」
「僕にも時々連絡来るよー。元気そうだねー。」
「へ?豊さんにも?!」
驚いて彼の方へ顔を向けると、長い髪の隙間から視線を揺らしてニヤニヤと笑っていた。
くッ…。豊さんにまで連絡してるのに、何故俺には一向にしてこない?!こっちは24時間いつでも連絡を受けれる準備はしていると言うのに。