【完】スキャンダル・ヒロイン
「静綺ちゃん睫毛長ー……
本当に綺麗な子ねぇ~…うちの事務所に所属しちゃえばいいのに」
いや…んな睫毛バシバシの人に言われても!
「おい、このブスがうちの事務所に所属出来る訳ねぇだろ。」
特徴のある声…。顔を見なくても誰が発言したか分かるほどの口の悪さ。私こいつと会って2日目で何度’ブス’って言われただろう。
くるりと振り返ると、得意そうに生意気な笑みを浮かべた姫岡さんがいた。
「もぉ~…真央ちゃんったら口悪いの。子供なんだから。
静綺ちゃん気にしない方がいいよ?真央ちゃんって小学生みたいな所があるから、可愛い子にはわざと悪口言うの」
「うっせ!ババア!良い歳こいて胸露出してんじゃねぇよ!
それにお前も勘違いすんなよ?!俺はとぉ~っても正直で素直な人間だから、親切でブスにはブスと言って自分の身の丈つーのを分からせてやってんだからな?!」
正直で素直で親切な姫岡さんは、山之内さんに首根っこを引っ張られて無理やり椅子に座らされた。
「この寮って人も全くいないし女の子も山之内さんしかいないから静綺ちゃんがバイトで来るって言ってて瑠璃すごく嬉しかったんだ~。
瑠璃って呼んでね~?仲良くしてね~」
そう言ってまた人懐っこい笑顔を見せた瑠璃さんは私の手を引っ張り、隣の椅子に座らせた。
良かった。心から安心した。姫岡さんの事もあって、芸能人という生き物が全て彼のような性格だったらどうしようかと思っていた。
私の隣でにこにこと笑う瑠璃さんはどう見ても癒し系。この子となら上手くやっていけそうだ。