【完】スキャンダル・ヒロイン

しかし昨夜…私は姫岡真央についてネットで調べたのだ。私が芸能人に疎いだけであって、先ほどりっちゃんが言った通り彼は確かに誰もが知る人気俳優なのである。

子役ブームが去って1回芸能界を去ってしまったが、再び大人になってから復帰した後も数々の映画やドラマの主演を務めている。好感度重視のCM契約も何本かあって、ネットで検索して出てくる彼の画像はどれも甘いマスクで爽やかな笑顔を浮かべていた。

これが先程私へ暴言を吐いて意地悪していた男と同一人物とは…到底思えない。

4階の自分の部屋にしようとした場所へ荷物を降ろして、山之内さんに指示をされた食堂へ行くと…そこには昨日いなかった数人の人物が思い思いに談笑をしていた。

「ああ!!山之内さん、彼女?!静綺ちゃん!うっわぁ~、噂通り綺麗な子だねぇ」

1番に声を上げたのは、金髪の派手髪をした…顔が恐ろしく小さくて瞳がでっかい…恐らく私と同年代の美少女だった。

ぴたりとしたキャミソールからは溢れんばかりの大きな胸が強調されていて、立ち上がると谷間がぷるんと揺れる。

う、うらやましー!!折れそうな程細いのに胸がデカいとか…。

彼女は人懐っこい笑顔をこちらへ見せて、ぎゅっと私の腕に自分の腕を絡みつかせてくる。
ちょ!胸が、胸があたる……。

「初めまして。あたし西山 瑠璃(ニシヤマ ルリ)って言います。ぜんっぜん売れてないけどグラビアアイドルやってるの~」

「どうも初めまして。棚橋静綺です。今日からよろしくお願いします」
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