この恋シークレット   ~アイドルと運命の出逢いをしました~
葵は、毎朝マンションを出るだけでオドオドする。

「結城様、おはようございます」

「お、おはようございます」

「行ってらっしゃいませ」

「行ってきます…」マンションを出て、「はぁ~」と一息つく。

コンシェルジュのいるようなマンションに自分が住むなんて考えもしなかった。慣れそうにない。

会社では真子以外には誰にも知られていないので、少し気が楽だ。

「葵おはよー」

「真子おはよう」

「今日こそは、帰りに話聞かせてね」

「う、うん」

そう、あのコンサートの後、急遽決まった引っ越しや、仕事が忙しかった事もあり、同棲することになったとしか報告できていない。

会社の中では話せる内容ではないので、結局今日まで時間が取れなかった。

真子も話を聞きたくてウズウズしているが、葵が幸せそうにしている様子で、自分の事のように喜んでいる。







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