かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
「ありがとう、ことは……! よかったあ、これでなんとか結婚しなくて済む~!」
「まあ、そんなに上手くいくかはわからないけど……くれはが私のフリをするのはともかく、私がくれはのフリをしたら『思ってたのと違う』どころか『期待外れすぎ!』って目標以上にがっかりさせちゃう可能性があるし」
「何言ってるの、それが目的なんだから別にいいじゃない。ていうか、なんでことははそんなに自分を低く言うの! ことはは心配ないとして、むしろ私の方が相手の期待めちゃくちゃ裏切っちゃいそう」
「くれはこそ何言ってるの? くれはならきっと、お父さんに伝えた好みとは多少違ってたって相手の方に気に入られちゃうよ」
「そのセリフ、そっくりそのまま返すわ」


そこまでポンポンと言葉を交わし、ふと同じタイミングで顔を見合わせながら会話を止める。

そうしてふたり、また同時に笑みをこぼした。


「はー、ほんとことはは、私に甘いなあ。いつも感謝してます」
「どういたしまして。わかってるなら、少しは自重してよね」
「一応、心得ときます」
「『一応』じゃ心配だなあ」


決戦のお見合いまで、あと5日。
そのとき私は、どんな気持ちで相手と対峙するのだろう。

まだ覚束ない未来に思いを馳せながら、私は不安を誤魔化すように同い年の妹の頭をくしゃくしゃと撫で回すのだった。
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