かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
私の心境をつゆ知らず、さらに奥宮さんの話は止まらない。
「年齢的にも周囲から結婚を勧められることが多く、そのたびに適当なことを言ってかわしながら辟易していました。どうせ結婚させられるならその相手くらい自分で探そうと思っていたところに、タイミング良くお父上がこの見合い話を持ちかけてきてくれたんです。まさに、渡りに船でした」
「………」
「あなたが私の妻になってくれるなら、ある程度高い水準の生活レベルを保証すると約束しましょう。ただその代わり、こちらが必要なときには最低限“社長夫人”としての振る舞いを演じてもらいます。それさえ応じてくれるなら、あとは好きにしてくれて構いません。別に一緒に暮らす義務はないし、公にはしないのなら他に男を作ってもいい。もちろん、私を愛する必要もない」
そこでふと、彼は思いついたように付け足した。
「ああそれから、仕事もそのまま続けてくれて構わないです。フローリスト……を、目指しているんでしたか? 資格を取るための援助もするつもりですから、遠慮なく──」
「結構です」
気づけば、口からそんな言葉が飛び出していた。
ひざに置いた両手がかすかに震える。これは、怒りのためだ。
こちらの発言に驚いた顔をしている奥宮さんを、私は精一杯の強い眼差しで怯むことなく見据えた。
「年齢的にも周囲から結婚を勧められることが多く、そのたびに適当なことを言ってかわしながら辟易していました。どうせ結婚させられるならその相手くらい自分で探そうと思っていたところに、タイミング良くお父上がこの見合い話を持ちかけてきてくれたんです。まさに、渡りに船でした」
「………」
「あなたが私の妻になってくれるなら、ある程度高い水準の生活レベルを保証すると約束しましょう。ただその代わり、こちらが必要なときには最低限“社長夫人”としての振る舞いを演じてもらいます。それさえ応じてくれるなら、あとは好きにしてくれて構いません。別に一緒に暮らす義務はないし、公にはしないのなら他に男を作ってもいい。もちろん、私を愛する必要もない」
そこでふと、彼は思いついたように付け足した。
「ああそれから、仕事もそのまま続けてくれて構わないです。フローリスト……を、目指しているんでしたか? 資格を取るための援助もするつもりですから、遠慮なく──」
「結構です」
気づけば、口からそんな言葉が飛び出していた。
ひざに置いた両手がかすかに震える。これは、怒りのためだ。
こちらの発言に驚いた顔をしている奥宮さんを、私は精一杯の強い眼差しで怯むことなく見据えた。