かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
かろうじて耳が拾った最後のつぶやきの意味を計りかねて、反射的に聞き返す。

けれども奥宮さんはふっと目を細めただけでこちらの疑問を受け流すと、視線をテーブルの上へとずらした。


「そういえば、飲み物も頼んでいなかったか。とんだ気の利かない男だ」


シニカルな笑みで自虐的に言ったかと思うと、奥宮さんが私の方へメニュー表を渡してくれる。


「ケーキでもアルコールでも、何でも頼んでいいよ。もちろん代金はこちらで出すから」
「え……っいえそんな、悪いです。自分の分は自分で……」
「今日はせっかくの見合いなのに、俺はきみにかっこ悪いところしか見せられてないんだ。頼むから、挽回させて欲しい」


そんなセリフとともにやけに真剣な眼差しでじっと見つめられ、またもや顔が火照る。


「え……っと、それじゃあ……ごちそうになります……」


結局根負けした私は、ケーキセットを注文することにした。奥宮さんはホットコーヒーのみだ。

呼び寄せたスタッフにオーダーを伝えてまたふたりきりに戻ると、とたんに緊張がぶり返してしまう。
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