東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
「どうしたの? 嫌な客でもいた?」

「違うわよ。実は一昨日ね、友達がバーテンしてる『Stella』に行ったの」

レストランバー『Stella』には叶星も一度だけ桃花に連れられて行ったことがある。
大人っぽい静かな店であるし、友達のバーテンは女性だということもあって、桃花は時々ひとりで仕事帰りに行ったりすることも聞いている。

うんうんと頷きながら、叶星は先を促した。

「素敵な人と出会ったの。仕立てのいいスーツを着てて、時計も靴も全部高そうで、背も高くて彫刻みたいに鼻筋が通っていて、滅多にお目にかかれないイケメンだったわけ」

「へえー。面食いの桃花がそこまで褒めるんだから相当なのね」

桃花は大きく頷いた。
「ビックリするようなイケメンだったの。ハイスペックの」

ハイスペックか、なるほどねと叶星は頷く。

彼女は友達から見てとても可愛らしいし、男にもモテる。
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