東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18



「じゃ、向こうに行ってみるか」
叶星が頷くと、大毅は左手を差し出した。

「お手をどうぞ」

――やだぁ、王子さまみたい。うふふ。
デレデレに照れながら手を重ねると、大毅がふいに立ち止まった。

「あ、そうそう。叶星の家出も俺の家出も、叶星のご両親には言ってないんだけど、どうする?」

さっき聞いた話では、彼は叶星の両親に、『叶星さんと結婚させてください。叶星を驚かせたいので、一緒に日本に帰って、そこで叶星から直接気持ちを聞いてほしい』と言ったという。

「正直に報告した方がいいか?」

「あ、それなら秘密のままで」
叶星はそう言って、ニッと笑った。

家出騒動を話したら、両親は心配してしまうだろう。
今は幸せな気分のままでいたい。
話すにしても落ち着いてから、笑って話せる余裕ができてからにしたいと思った。

「わかった。別館には遊びに来ているってことになってる」
「はーい。了解でーす」
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