東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

本邸に行くと、客間の方から楽しそうな笑い声が響いていた。
「お、来た来た」と相好を崩したのは叶星の父。

まずは、大毅と並んで大毅の父のところに行った。

実は叶星と東堂氏が顔を合わせるのは初めてだったが、お互いにそのことには触れない。
叶星に向かって心得たように頷いた東堂氏は、「大毅が、随分勝手をしたようで、申し訳ないね。本当は私たちがシンガポールまでご挨拶に伺わなくちゃいけないのに、ご両親に来て頂いて」と言って、あらためて叶星の両親に頭を下げた。
「申し訳ございません」と東堂夫人も重ねて頭をさげる。

叶星の両親が、とんでもないと慌てながら、大毅が来てくれてどれほどうれしかったかを話たりして、ひとまず最初の挨拶は終わった。


その後、叶星が走り寄ったのは母の元。

「ごめんね、お母さん。ビックリさせちゃって」
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