東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
「本当よ。いつの間にこんなことになっていたんだか。何にも言ってくれないから。もお」

続けて母は小声で耳打ちした。
「本当にいいの? 結婚したいって思ってる? 嫌ならここで暴れて帰ったっていいのよ?」

ゴールデンウィークに会った時には、『お母さん私、一生結婚しないかも』などと言っていたのだから、たった二ヶ月で結婚という話が出たことが信じられないのかもしれなかった。

クスッと笑った叶星も、小声で答える。
「いいの。私、大毅さんと結婚したい」

ここでもし、東堂夫人に別れてほしいと言われた話をしたら、気が短い母はブチ切れて帰ると言い出すかもしれない。

そうなってしまったら、またひと波乱もふた波乱も起きてどうなることやら。
ここはやはり、秘密にしておこうと叶星は心に誓う。

「それにしても。こんなすごい家に嫁いだら大変よ? 大丈夫なのかしら」

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