東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
副社長も結局『今回だけは見逃してやる』と許してくれたので、秘密にするつもりだが、そのぶん今後は何倍も精進しますからごめんなさい専務!と、心の中で必死に謝った。

「君はもう頼んだの?」
「え?」

「食事」
氷室専務はにこやかに聞いてくる。

東堂副社長もだが、目の前にいるこの氷室専務もかなりのイケメンなので、正面から微笑みかけられるとハッとしてしまう。

「あ。い、いえ、私もいま来たばかりなので」
泳いでしまう目を瞬きながら、叶星はメニューに目を落とした。

「ご馳走するから、好きなの頼んで」

「すみません。ありがとうございます」

では、と頼んだのは、ビーフシチューやらパスタやらが色とりどりに盛り付けてあるワンプレートのランチ。
ほどなくして来たウェイトレスに彼は、叶星が選んだものをふたつ頼んだが、当然のようにプラス料金のデザートも追加した。

全てが淀みなく手慣れている。
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