東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
さすがだなぁと感心しながら見ていると、ふと周りの視線に気づいた。

彼は店内の女性のハートを鷲掴みにしている。
当の本人はそのことをわかっているのかいないのか、ウエイトレスに魅力的な笑みを送りながら、メニューを手渡した。
専務という役職で名前は氷室仁。調べた訳ではないが、社名がヒムロに近い『ヒムロス』であることを考え合わせるに、彼もまた創業者一族の御曹司なのかもしれないと叶星は思った。

でも、同じ御曹司でも随分と印象が違う。
あのいけ好かない鬼副社長とは違って、こちらの御曹司は気さくでフレンドリーだ。
専務とただの派遣社員であることを忘れてしまいそうになる。

目をハートにして頬を染めたウエイトレスが立ち去ると、ふいに彼が言った。

「行くの?オープニングパーティ」

「え?」

「さっき見えたから」

「――あ」
叶星が振り返って見たのは、隣の席に置いたバッグ。
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