東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
叶星の喉はゴクリと鳴った。

撮影日の変更を告げた彼は、よりによって今日、有給休暇を取っている。

ひと呼吸おいて、叶星は受話器を手に問いかけた。

「あの。すみませんが、三日後に変更という連絡は聞いていませんか?」

『三日後? 聞いてませんよ。いつ頃の話ですか? うちは今日なら大丈夫ってことでお受けしたんでね』

いずれにしても今日の撮影がないことは確定だ。

「そうですか……。すみません、野呂に確認しますが、今日の撮影は中止されたんです。連絡不行き届きで大変申し訳ありません」

費用のことやら追及されたが、あらためてということにしてひたすら謝りをいれ、電話を切った叶星は茫然とした。

――うそでしょう?!
叶星は眩暈がする思いで、息を飲み込んだ。

落ち着いて、よく思い出してみよう。
取り急ぎ休暇中の野呂に電話を掛けながら、記憶を遡る。

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