東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
ブツブツと文句を言いながら、廊下を歩いていると、向こうから東堂副社長が黒崎と歩いてくる。
――やっぱり鬼の会社だけあるわ。ふん。
目を合わせないように下を向きながら、それでもなんだか悔しいので頭を下げるついでにチロッと舌を出した。
「黒崎、先に行ってくれ」
「はい。わかりました」
嫌な予感がして、大急ぎで通り過ぎようとすると、
「君」と、呼び止められた。
――ひっ?!
いや、気のせい気のせいと言い聞かせたが今度は「西ノ宮、さん」と、はっきりと名指しする。
仕方なく立ち止まって振り返った。
「なにか」
「何があった?」
「いえ? べつに何もないですけど?」
「いまにも噛みつきそうな、凶暴な顔で歩いていたぞ」
「凶暴って、し、失礼な。すみません、これが普通なもんで」
「――そうか。気をつけろ、シワが寄っている。ここは化粧品メーカーだ」
――やっぱり鬼の会社だけあるわ。ふん。
目を合わせないように下を向きながら、それでもなんだか悔しいので頭を下げるついでにチロッと舌を出した。
「黒崎、先に行ってくれ」
「はい。わかりました」
嫌な予感がして、大急ぎで通り過ぎようとすると、
「君」と、呼び止められた。
――ひっ?!
いや、気のせい気のせいと言い聞かせたが今度は「西ノ宮、さん」と、はっきりと名指しする。
仕方なく立ち止まって振り返った。
「なにか」
「何があった?」
「いえ? べつに何もないですけど?」
「いまにも噛みつきそうな、凶暴な顔で歩いていたぞ」
「凶暴って、し、失礼な。すみません、これが普通なもんで」
「――そうか。気をつけろ、シワが寄っている。ここは化粧品メーカーだ」