保野田、意味わかんない
「まじで保野田、意味わかんない……」
なんでわたしまで熱くするわけ?思い出しちゃったんですけど。
わたしの返事は保留。保野田はそのあと、何も反応を示さなかった。なのに、今日の、これ。
本当、どうしてくれるんだ。熱中症でぶっ倒れるかもしれない。
「うん、ごめん。おれも笠原さん意味わかんねぇなって思ってる」
「意味わかんねぇのは保野田だし……」
「てかさ、呼び方」
──くんづけ、外しちゃったよ。でも、まぁ、もういっか。
「あー」
首筋をかいてから、
「海愛さん?」
「……なんですか」
返事をすると、彼は驚いたような顔をした。
名前を呼んだのは、そっちのくせに。
「はは。ねぇ、おれ、自惚れるけど」
余裕のなさそうな、ほんのちょっぴり掠れた『はは』の声。
「──……すきにすれば」
それだけを言って、プールから足を抜く。
水で丸洗いできるタイプのサンダルでよかった。そのまま足を突っ込む。