保野田、意味わかんない
「足が乾いたら、牛乳回収して、帰る」
「……うん」
「聞いてる?」
「うん」
「……足濡れたまんま上がるよ?」
「うん」
もちろんそんなことはしないけど、ぜんぜん聞いてないな、本当。
「保野田!」
大きめの声で呼ぶと、彼は瞬きを繰り返したのち、「はい」と返事をした。
「べつに話の種はないんだけど、あまりにも空返事だから呼んだ」
「ごめん」
「怒ってはない、保野田らしいから」
よくわかっていないふうだったけれど、
「ありがとうございます……?」
お礼をされたからすべてをよしとしておく。