183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
その台詞は真衣の部屋にあるラブファンタジ―漫画のひとこまで、落ちぶれた伯爵家の美しき令嬢シャルロットを、暴君と呼ばれる皇帝が力尽くで手に入れようとするシーンだ。

シャルロットを愛したことで皇帝が改心する場面や、暗殺されそうになったシャルロットを命懸けで守る場面は感動的であり、真衣のお気に入りの一冊である。

真衣の顔が耳まで赤く染まっているのは、ときめきではなく、恥ずかしさが理由だ。

その本のベッドシーンは軽いものだけど、自分の性癖を覗かれた気分で動揺し、うつむいてしまう。

柊哉はアハハと高笑いして、壁に突き立てていた腕を外した。

その手をスラックスのポケットに突っ込むと、腰を曲げてニヤニヤしながら真衣の顔を横から覗く。

「妻を理解してやろうという夫心だ。たった半年の関係にも関わらず、俺って優しいよな」

「どこがよ!」

今朝は真衣がまだ裸だというのに、洗面脱衣室の鍵を開けて入ってこられ、挙句に『着替えを覗いてやれなくて悪いな』とからかわれた。

帰宅してからも、真衣の平常心を奪うようなことをする彼に、負けたような気分で悔しくなる。

柊哉も勝ったと思っているのだろう。

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