元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
瑠衣からは何も聞かされていない事実。
「でも、こんなことになって、息子がかなりつらい立場になることも、これからたくさん試練と向き合わなくてはならないことも簡単に予想がついた。」
理事長は父親の顔になりながら話を進めた。
「激流の川に息子を投げ入れるような気持ちだったんだ。私も。だからせめて、息子のそばで息子を支えてくれる存在を作ってやりたくて、君を選んだんだ。」
杏奈をまっすぐに見つめる理事長。
「息子のことをどうか支えてほしい。」
初めて見る父親の顔をした理事長は、杏奈に深々と頭を下げた。
「頭をあげてください」
動揺しながら杏奈が理事長の方へ近付くと理事長は杏奈の手を握った。

ごつごつとした太いしわの深い手はかなり熱い。

「頼むよ。息子のことをよろしく頼む。」
杏奈の手に額をつけるようにして頭を下げる理事長に杏奈はしゃがんで「全力で支えます」と返事をした。
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