壊れる世界と不死身の子
第8話〝それぞれ〟

いきなり家の扉が開いた。
「ただいまー。」
「ただいま、帰りました。」
「‥‥‥。」
「帰ったぞー。」
ゾロゾロと男2人と女2人が入ってくる。
緋色は唖然として、立っている。
入ってきた人の中に、さっき薬を探しに行った時に会った2人、フィーとティールがいた。
「フィー!ティール!また会ったな。」
笑顔で緋色がそう言うと
ニコッと2人が笑い返してくれた。
「なになに?知り合いだったのかい?」
面白そうにそう言ったのは、人間で言う、40代程度のダンディーなおじさんだった。
「人間と知り合いだなんて‥‥」
そう吐き捨てたのは、ショートのボーイッシュな女の子。
「何か文句があるの?」
静かに言い返すフィー。
「大ありです。」
「何が?言ってみて」
2人が喧嘩のようなものを始めようとしたとき
「はいはーい、喧嘩はそこまで。」
そう言ってセトが間に入った。
そして
「この子の名前は倉崎緋色。みんな、緋色に自己紹介してくれる?」
ホワホワとした空気を放ちながらそう言うセト。
周りは、それに逆らえないらしい。
「俺の名前は、ルーガス・シアラー。何か困ったことがあったら、おじさんに相談するんだぞ。」
40代程度のダンディーなおじさんがルーガスというのか‥‥
「よろしく、ルーガス。」
「あぁ、嬢ちゃん。」
楽しそうに返事をするルーガス。
「じゃあ、次は私ですね。私の名前は、リア・アーケード。よろしく。」
少し無愛想な、ショートカットでボーイッシュな女の子がリアというのか‥‥
「よろしく、リア。」
緋色がそういうと、あまり嬉しくないような顔でうなずいた。
「俺は、さっきも言ったけど‥‥フィース・ファースト。よろしく。」
笑顔でそう言うフィー。
大人しくて、可愛いのが、フィー。
「うん、よろしくな。」
「私もさっき言いましたが、私の名前はティールス・エール。緋色よろしくね。」
発育が良くて黒髪を持った美人な女がティール。
「うん、よろしくティール。」
笑顔でそう返した。
ティールがセトの腕に抱きつく。
「暑い‥‥離れろ。」
少し苦い顔で、セトがそう言った。
ニヤついて、緋色を見るティール。
なんか、ムカつくな‥‥なんでだろ。
「なぁ、お嬢ちゃん。お嬢ちゃん能力効かないんだって?」
ルーガスが緋色にそう聞いた。
「いや、俺も知らねぇよ。」
「俺?俺って!?そんな可愛い見た目して、俺かよ!女だよな?もしかして男なのか?確かにあんまり胸がないような‥。」
まじまじと緋色を見るルーガス。
「ルー?」
恐ろしい顔でルーガスを見るセト。
「そんな怒るなってリカール。わかってるって、女の子だろお嬢ちゃん。」
「そうだよ。悪かったな。」
睨み付ける緋色。
「いやいや、俺は女の子の方が好きだよ。」
「聞いてねぇよ!」
にこやかに自己紹介するルーガスに突っ込みをする緋色。
「団長ー、招集がかかってる。」
ティールがそう言うと
「わかった。」
真剣な顔でそう答えるセト。
招集ってなんだ?
よくわからないが‥‥めんどくさそう。
「俺はここに残っていいよな?」
緋色がそう聞くと
「何言ってるの?緋色のための招集みたいなものなんだから、行かなきゃダメだよ。」
優しく笑ってそう言うセト。
「わかったよ。」
「あれ?素直だね。」
「うるせー。」
なんだか、セトの笑顔に対抗できなかった。
「じゃあ、行こうか。」

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