捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 足に力が入らない。思考もなにもかも奪われて溶かされる。

 唇と舌の感触とが私を狂わせた。軽く吸われたかと思えば舌でなぞられ、痕が付かないぎりぎりの強さで噛まれる。濡れたキスの音に鼓膜まで刺激されて眩暈がした。びく、と身体が震えると、涼さんが微かな笑みを口元に浮かべる。

 満足そうな顔だった。この人はなにをすれば私が逆らえなくなるのか知っている。散々甘やかしてくれたあの日々ですべて調べ尽くしたのだから。

「どうしてこんなことをするの……」

 息を荒げながら、胸元のボタンを外した涼さんへ訴える。

「結婚したのは、鳴のためだけでしかないのに」

「俺は違う」

「私を許さないって言ったのはなに? 嫌いだから捨てたんでしょ? なのに、どうして」

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