捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 涼さんとの結婚が失敗したとき、慰めるでもなく罵った母親。こちらからの連絡を絶ってからはなにもないけれど、それまではよくお金の無心をされていた。

 母のことはいつだって心配しているし、言うほど悪い人ではないとも思っている。ただ、話を聞く限りなにかおかしいのはたしかで、それなら広い世界を知るためにも必要以上のかかわりを避けようと思ったのが今だった。

「まず家族みんながいつも揃ってるのがいいんでしょ? それと、愛情がいっぱい」

「うん。でもそういうものじゃない? 憧れの家庭って」

「んー……私はそもそもそれを憧れじゃなくて、当たり前のものだと思ってるから」

「……なるほど」

 得心がいって頷くと、芽衣子は曖昧に微笑んだ。

「あんたの言う『家族』にはまだお母さんがいるのかな」

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