捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 呼ばれて顔を上げると、また涼さんの方が先を歩いていた。

「はぐれるだろう」

 伸びてきた手が私の手を捉えて、恋人がするように指を絡めてくる。

「手なんて繋がなくても……」

「俺が繋ぎたかったんだ」

 絶句した私に構わず、涼さんは手を繋いだまま歩き出す。

 大きな手と長い指が私を包み込んで離してくれない。そのせいでぬくもりが伝わってきて、変に汗をかきそうだった。でも、離したいと思えない。このままずっと握っていてほしいとさえ思う。

 ――好き。

 そっと私からも手に力を込めて、言えない言葉を呑み込む。

 涼さんが好きで、好きで、苦しい。この気持ちのまま甘えて抱き締められたい。ちゃんと妻として求められたいし、愛されたい。

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