捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
(でも、それだけは叶わない。なにもなかった過去には戻れないから)

 涼さんのぬくもりは私を叶わない夢に押し込もうとする。またかつてのように愛してもらえるんじゃないか、彼の言うように今も本当に愛してくれているんじゃないか。そんな期待をいくつもふくらませて。

 だけど、私は期待しないと決めたのだ。どんなに甘い言葉を囁かれようと、完璧な父親になってくれようと、この人がこの人である限り。

「パパずるい!」

 不意に大きな声がして鳴が飛んでくる。

 涼さんと私の間に割って入り、手を振りほどこうとした。

「なるくんのママでしょ!」

「お前のじゃない」

「ちがう! なるくんの!」

「なんの喧嘩なの」

 思わず突っ込んだ私を、ふたりは無視した。所有権を主張する割にずいぶんな扱いである。
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