捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 きゅ、と鳴が私の人差し指を握り締めてくる。慰めてくれようという意思を感じてきゅんとした。妻となる予定だった女を捨てる男と違い、人の気持ちに敏いいい子である。

(ほんと、鳴に出会わせてくれたことだけは感謝しなきゃ)

 親ばかだと言われようとなんだろうと、鳴が世界で一番かわいい。

「ありがとう、鳴――」

「パパはママをぎゅってしない?」

「……え」

「ママはなるくんをぎゅってするでしょ。なるくん、こわくないになるの」

 どくんと大きく心臓が跳ねた。

「パパいないよ。なるくんがママをぎゅってする?」

 初めて鳴の口からパパという単語が出た。その衝撃にすぐ返事をすることができない。

(父親のことなんか話したことない。芽衣子だって言うはずない)

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