捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 これで彼のことを思い出してしまった胸の痛みも忘れられたらよかったけれど、そう簡単に消えてはくれない。

「ありがとうね。ママ、元気になっちゃった」

「ん。あとでね、なるくんとおやつたべよ? おいんじゅーちゅのむの」

「オレンジジュース?」

「ううん、おいんじゅーちゅ」

(おりんごジュース、かな)

 鳴の意識はすっかり父親からおやつの時間に移っていた。そのことにほっとしてはいけないと思うのに、肩の力を抜いている自分がいる。

 こんなのはただの誤魔化しだ。いつか来るその日をほんの少し遅らせているだけで、鳴の意識を父親から逸らすのは逃げでしかない。

 このままではなにも変わらないだろう。鳴にとってもよくないのは明白だ。

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