捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 振り返ると、芽衣子が部屋を覗き込んでいる。鳴のことが大好きな芽衣子も、泣き声を心配していたようだ。

「芽衣子、『ドルチェ』からの依頼……私に担当を回して」

「え? うん、むしろ翠以外にお願いするつもりなかったよ」

 こうなったらもう戻れない。あの人に向き合い、そして今度こそ乗り越えることで新しい人生を歩めるようになるはずだ。

(大丈夫。これでも一応営業マンとしては優秀なんだから)

 もう三年も経っているのだからつらくない。苦しくない。

 ――好き、なんて気持ちもとっくに風化した。

(今度こそ私の人生から涼さんを消し去ろう)



 あのあと芽衣子が折り返しのメールを送り、ついに戦場へ乗り込む日がやってきた。

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