捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 まだ許していないのだ、と。嫌いだと伝えて拒めば、おそらく涼さんは二度と私に触れてこなくなる。鳴の前で夫婦として最低限の関係を築こうとするだろう。

 それでよかったはずなのに、言えなかった。

「……っ、最初から逃げるつもりなんてなかったよ……」

 恨みより、自分の本心を伝えて涼さんの背中に腕を回す。私からしたつもりだったキスは、逆に絡め取られて主導権を奪われた。

「……っ、ん」

 抱き寄せられて後頭部を掴まれる。余すことなく奪い尽くそうとするかのようにキスを深められ、小さく声が漏れた。

 ただのキスがこんなに胸を震わせるものだとは、三年前にも知らなかった。

「いす、ず……さん……」

「待たないからな」

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