捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 苦しんでいるのは私だけだと思っていた。この人は一方的な加害者であって、被害者は私ひとりなのだと。でも、この顔を見てそんなふうには思えない。

(涼さんでも泣きそうになったりするんだ……)

 他人事のように思った私の肩に額を乗せ、涼さんは静かに続ける。

「拒むなら徹底的に拒め。嫌いならそれでいい」

 名残惜しげに手首を掴んでいた手が離れていく。

「だが、もしまだ俺に気持ちを残しているなら」

 顔を上げた涼さんと目が合った。

「もう、逃げるな」

 無理だ、と心が言っていた。この人を拒み切ることなんてできるはずがない。できているならもっと早くやっている。

「あなたなんて」

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