捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 中の人間に許可を取らないのか――と思った私の目の前でドアが開かれる。

 促されるままついに社長室へ足を踏み入れると、「それでは」とスタッフが出て行ってしまった。

 社長室には私と、もうひとりだけが残される。

 三年前、私の夫になるはずだった人がそこにいた。

「っ……」

 なにを思っているのかわからないと社員たちに言われていた愛想のない顔。鳴よりももっと鋭い印象を持った切れ長の目と、何度も私に愛を囁いてくれた形のいい唇。相変わらず引き結ばれていて、怒っているようにも見える。

 私を捨てたそのときのままの涼さんが、無言でこちらを見つめていた。

 いろいろな想いが込み上げて胸が痛い。

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