捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 この先に私を捨てた人がいると思うと、どんな顔をすればいいのかわからない。私はたぶん、あの日のことを怒っている。そして悲しんでいる。今だってやるせない思いで目の前がちかちかする。胸が詰まっているのも、喉奥が締め付けられて息が苦しいのも、全部涼さんのせいだ。

 社長室のドアの前に立ち、深呼吸する。

(会いたくない。――でも、会わなくちゃいけない)

 昔、こうして来たときはここまで緊張していなかった。ただただ理不尽な上司への怒りと、それに気付いていない社長に苛立っていた。

 今は、違う。

「失礼します」

 案内してくれたスタッフがノックをしてからドアノブを掴む。

「株式会社『MAY』の天津様をお連れしました」

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